Vol.8 アンナさん(ロシア・アメリカ)

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生後3か月のティム君をベビーカーに乗せて現れたアンナさんは、きれいな目が印象的なロシア美人。建築家で現在は育児休業中のキャリアマムです。

お人形さんみたいなティム君をあやしながら快く取材に応じてくださいました。

ロシア語、英語、日本語と三か国語を操る、来日9年目のアンナさんが見る日本とは。

― ロシア、米国、そして日本へ

出身はロシアのタタルスタン共和国の首都・カザン。
カザン(Kazan)の発音は日本語の「火山」と同じです。カザンはロシア第3の工業都市で、近年発展を続け、FIFAワールドカップなど各種スポーツ大会が開催されています。
その後、英国、カナダを経て米国に渡りました。

米国の大学院で建築学修士号を取得後、日本に興味があったので夫と共に2012年に来日。現在は、ロシア人の夫、7歳の娘と3か月のティム君の4人暮らしです。
家ではロシア語、娘は学校で日本語、私は仕事で英語、ロシア語、日本語を話します。

― 日本はとても安全

先ず、日本は安全で子供が一人で通学できるというのは驚きです。
子供が一人でできることも沢山あります。公園でベビーカーを置いていても盗まれたりしません。

次に、日本の優れた医療制度です。来日2年目で長女が生まれ、シングルマザーになったことがありますが、その時、米国に戻るか、日本にとどまるかの選択を迫られました。日本在住を決めたのは、子供の医療費が中学3年生まで無料と有利だからです。

日本食も魅力です。ロシア人は日本と言えば「寿司」しか知らないので、色々な食べ物があることを伝えたくてブログ(instagram)を始めました。

地形で言うと、ロシアは広大な国で大平原ですが、日本は起伏があり各地で全く違う景色が楽しめます。
大田区は気に入っています。富山にも家があり、山も海も身近にあるのが魅力です。

七五三など日本のお祭りは外国人でも楽しめ、娘は着物を着てはしゃいでいました。

ただ、私たちは日本人ではなく、日本人になろうとは思いません。
居住する国の文化を尊重しつつも、故国ロシアも大切にしたいと思っています。

― 日本で困ったこと

米国で多様な人種を見てきたので、東京の地下鉄で誰もが同じ黒髪で黒眼の光景を見て当初は戸惑いました。

日本でシングルマザーとして生きるのは難しいですね。多様な価値観を受容する米国やロシアと違い、日本ではシングルマザーという烙印を押されてしまいます。

冬は日本の家が寒いこと。ロシアではセントラルヒーティングで室内は一定温度に保たれています。

― ロシアの都市計画プロジェクト

当初は日本の企業文化や日本語に不安もあったので外国人経営の建築事務所で働きましたが、その後、大手設計会社に転職し、現在はロシアの都市計画プロジェクトに携わっています。弊社はグローバル企業で海外プロジェクトも多く、外国人社員を多く抱えています。ですから、日本企業に抱いていた不安はありません。

ただ、研修が日本語でのみ行われたときは困りました。でも、現在では英文資料も用意されるようになりました。

― コロナ禍での過ごし方

コロナ禍で在宅を強いられましたが、家で娘と仲良く過ごせたのは有難かったです。4月まで育児休業中ですが、通勤で時間を無駄にしなくても済むのは助かります。というのも、私が関わっているプロジェクトのほとんどがモスクワにあるので、時差の関係で度々夜遅くまで仕事をすることがあるからです。

編集後記:
日本での生活も9年になり、日本に来る前も米国、イングランド、ロシアにいらしたことがある正に国際的な方で、しかも、その変化を楽しんでおられるご様子。

住んでいる国の良い面も悪い面もしっかりと理解し、外国に住んでいてもロシア人であり故郷のことは忘れないという言葉が印象的でした。

日本の生活は気に入っておられるご様子で、お仕事も子育ても大変なときですが、日本の生活をフルにエンジョイしてください!

「隣の外国人」実行委員 河合

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